箱の裏に並ぶ小さな文字。その向こうには、作る人、品質を確かめる人、使ったあとの声を受け取る人がいます。総括製造販売責任者は、その人たちを「品質と安全」という一本の線でつなぐ仕事です。
私は以前、化粧品の総括製造販売責任者を務めていました。長い肩書きなので、何をする人か分かりにくいと思います。小学生に説明するなら、会社の中の安全キャプテンです。
一人で全部を検査する人ではありません
化粧品には、処方を考える人、製造する人、品質を管理する人、安全に関する情報を集める人が関わります。総括製造販売責任者は、そのすべてを一人で行う職人ではありません。
品質管理と、販売したあとの安全管理が正しく動くように監督する。必要なときは措置を決め、経営へ意見する。厚生労働省の資料でも、そのような役割として位置づけられています。
売る前だけ見て終わりではない。商品が世に出たあとも、声を受け取り、品質と安全を見続ける。それが「製造販売」という言葉に込められた責任です。
売りたい気持ちと、止める判断
メーカーには、商品を多くの人へ届けたい気持ちがあります。もちろん、私にもあります。ただ、売りたい気持ちだけで品質や表示を判断してはいけません。
総括製造販売責任者には、品質や安全の立場から経営へ意見する役割があります。都合のよい情報だけを拾わず、必要なら立ち止まる。その役割を知った経験は、今の経営にも残っています。
現在は株式会社Pinelmaの代表として、判断を受け取る側にもなりました。だからこそ、売る判断と止める判断を、同じ責任の中に置きたいと思っています。
肩書きより、会社に何を残すか
「元 総括製造販売責任者」という肩書きを、商品の効き目を約束する印には使いません。私は医療資格者ではなく、この肩書きも医学的な助言をする資格ではありません。
残したいのは、肩書きではなく仕事の考え方です。品質を確かめる。売ったあとも見る。問題を小さく扱わない。必要な意見が経営へ届くようにする。
責任者が一人いるから安全なのではありません。安全を守る仕事が、会社の中でつながっていること。総括製造販売責任者という仕事を知ってもらうなら、いちばん伝えたいのはそこです。
まとめ
- 総括製造販売責任者は、品質管理と販売後の安全管理を監督する。
- 一人ですべてを検査するのではなく、関係する責任者や経営をつなぐ。
- 肩書きは商品の効果を約束するものではない。
- Pinelmaは、その役割で学んだ「売ったあとまで見る姿勢」を経営に残す。
制度上の役割は、厚生労働省の「医薬品等総括製造販売責任者等の設置及び遵守事項」およびGQP・GVP関係資料を参照しています。本記事は制度と当社の考え方を紹介するもので、医学的・法的な助言ではありません。
