届いた育毛剤の箱の側面に、「ニコチン酸アミド」という名前があります。顔に使う化粧品で見た「ナイアシンアミド」と、よく似た響きです。2つの名前は、どういう関係なのか。どちらの名前で書かれていても、何を読めばよいのか。名前の出どころ、見かける理由と読む欄を、編集部が整理しました。
「ニコチン酸アミド」は、一般的名称(JAN)や原料規格、厚生労働省の通知で使われる名前です。化粧品の成分表示名称リストには、「ナイアシンアミド」という表示名称があります。医薬部外品でも、製品の表示に「ナイアシンアミド」と書かれていることがあります。どちらの名前でも、入っている目的は各製品の効能効果の欄から読み取ります。

「ニコチン酸アミド」は、一般的名称や原料規格で使われる名前
一般的名称(JAN)のデータベースで「ニコチン酸アミド」を引くと、同じ名前の項目が1件あります。英語の名前は、Nicotinamideです。
医薬部外品原料規格2021にも、「ニコチン酸アミド(Nicotinamide)」の条があります。2008年に厚生労働省が出した通知にも、この名前が載っています。
業界団体がまとめた医薬部外品の成分表示名称リスト(2008年版)でも、名前は「ニコチン酸アミド」です。ほかの呼び方を書く欄は、空いています。女神の前髪の成分表示も、この名前です。
名前の似た「ニコチン酸」は、JANと原料規格で別の項目です(英名 Nicotinic Acid)。「ニコチン酸
化粧水やクリームで見かける理由と、「ナイアシンアミド」という名前の出どころ
薬用化粧品と呼ばれる化粧水やクリームも、医薬部外品として製品ごとに承認を受けます。その申請の参考として、厚生労働省は2008年、有効成分の前例を製品の種類別に並べた通知を出しています。
ニコチン酸アミドが挙がるのは、そのうち次の2つの項です。
- 化粧水
- クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油
シャンプー、リンス、ひげそり用剤、日やけ止め剤、パック、薬用石けんの項には見当たりません。薬用シャンプー・リンス(2014年)と薬用石けん(2018年)の通知の表にも、載っていません。
薬用の化粧水やクリームの成分表でこの名前を見かけるのは、前例があるためだと編集部は考えています。なお、育毛剤の項は2008年のリストになく、ほかと同じく製品ごとに承認されます。
一方、「ナイアシンアミド」は、別のリストにある名前です。業界団体の日本化粧品工業会がまとめた、化粧品の成分表示名称リストの表示名称です。英語の表記(INCI名)は、Niacinamideです。このリストに、「ニコチン酸アミド」という表示名称はありません。
医薬部外品の全成分表示は業界の自主基準、化粧品は法律に基づく全成分表示で、決まりの出どころも別です。ただ、製品の表示に出てくる名前は、資料の区分とそろうとは限りません。医薬部外品の製品でも、「有効成分」の欄に「ナイアシンアミド」と書かれている例があります。
2つの名前の関係を、本記事では「どの資料に載っている名前か」までにとどめます。成分表示の決まりの違いは、医薬部外品の育毛剤とはの記事にあります。
どちらの名前でも、何のためかは、各製品の「効能効果」の欄で読む
成分名から、製品の効能効果を読み取ろうとしない。これが編集部の見解で、理由は2つです。
1つは、承認の単位です。医薬部外品は製品ごとに、成分や分量、用法用量、効能効果などをまとめて審査されます。有効成分が何のために入っているかも、製品を単位に決まります。
もう1つは、製品の表示に出てくる名前が、資料の区分とそろうとは限らないことです。資料の上では2つのリストに分かれていても、製品の表示では、医薬部外品にも「ナイアシンアミド」の例があります。名前の違いだけを手がかりに、製品の目的を読み分けることはできません。
だから、化粧品で見た名前の印象は、頭皮に使う育毛剤へ持ち込みません。成分表で名前に気づいたら、箱や商品ページで「効能・効果」と書かれた欄を探します。欄がどこにあるかは、頭皮美容液と女性用育毛剤の違いの記事で確かめられます。
有効成分の有無や数で、製品の効能効果の大きさを比べることはできません。

女神の前髪の場合
女神の前髪 薬用スパエッセンス No.8-HINOKI は、医薬部外品の薬用育毛剤です。販売名は「ヘアーローション8 MV」、承認番号は30600DZX00656000です。
成分表示の有効成分8種のうち、一つが「ニコチン酸アミド」です。表示の順に、人参エキス、センブリエキス、セファランチン、グリチルリチン酸2K。続いて、D-パントテニルアルコール、ニコチン酸アミド、サリチル酸、ジフェンヒドラミンHClです。
表示している効能効果は、製品として承認を受けた範囲のものです。成分ひとつずつに付いた効能ではありません。有効成分が8種という数で、効能効果の大小は決まりません。
選ぶときの手がかりには、使う側の事情も置いています。持ち歩ける30mLの大きさ。洗面台に出しておけるボトル。そして、天然ヒノキ精油(一部合成香料を併用)の香りです。
効能効果の表示は、Amazonの商品ページで確認できます。
成分表全体と、ほかの7つの有効成分の記事
成分表全体の読み方と、ほかの7つの名前は、頭皮美容液の成分表、どこを見る?で確かめられます。有効成分とは何かは、医薬部外品の育毛剤とはで説明しています。
名前の論点がいちばん近いのは、D-パントテニルアルコールとはの記事です。成分表の名前と、別の資料に載る別の名前を扱っています。
呼び方が3つある成分はグリチルリチン酸2Kとはの記事、似た名前との区別はサリチル酸とはの記事で読めます。
名前が示す植物と部分は、センブリエキスとはの記事で整理しています。
漢字の名前とカタカナの名前の関係は、人参エキスとはの記事で整理しています。
同じ成分表示名称リストで、略した名前を読んだのがジフェンヒドラミンHClとはの記事です。
よくある質問
ナイアシンアミドとニコチン酸アミドは、違うものですか?
名前の出どころが違います。一般的名称(JAN)、原料規格、厚生労働省の通知、医薬部外品の成分表示名称リストでは「ニコチン酸アミド」です。化粧品の成分表示名称リストの名前は「ナイアシンアミド」です。ただし製品の表示では、医薬部外品でも「ナイアシンアミド」と書かれていることがあります。2つの名前の関係は、どの資料に載っている名前か、までにとどめています。どちらの名前でも、入っている目的は各製品の効能効果の欄を見て確かめてください。
「ニコチン酸」とは違いますか?
別の名前です。一般的名称(JAN)と原料規格で、「ニコチン酸」(英名 Nicotinic Acid)は別の項目に載っています。本記事で扱うのは「ニコチン酸アミド」だけです。
化粧水やクリームの成分表でも見かけるのは、なぜですか?
薬用の化粧水やクリームは、医薬部外品です。2008年に厚生労働省が出した通知では、化粧水と、クリーム・乳液などの項に、有効成分の前例があります。編集部は、これが薬用の製品で見かける理由だと考えています。製品によっては、「ナイアシンアミド」の名前で書かれていることもあります。薬用の製品で何のための成分かは、効能効果の欄を見て判断します。
頭皮に使う育毛剤にニコチン酸アミドが入っていると、何がよいのですか?
それは、成分の名前だけでは答えられません。承認されるのは製品単位の効能効果で、成分単位ではありません。読む場所は、その製品の効能効果の欄です。女神の前髪の効能効果は、Amazonの商品ページで確認できます。特定の効果を保証するものではありません。
参考資料
公的な資料
- 厚生労働省:いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて(平成20年12月25日)
- 厚生労働省(PMDA掲載):薬用シャンプー及び薬用リンスの承認審査に係る留意事項について(平成26年5月2日)
- 厚生労働省(PMDA掲載):薬用石けんの承認審査に係る留意事項について(平成30年3月29日)
- 厚生労働省(PMDA掲載):医薬部外品原料規格2021について(令和3年3月25日)
- 厚生労働省(PMDA掲載):医薬部外品原料規格2021(本文)
- 国立医薬品食品衛生研究所:日本医薬品一般的名称(JAN)データベース「ニコチン酸アミド」
- 国立医薬品食品衛生研究所:日本医薬品一般的名称(JAN)データベース「ニコチン酸」
業界団体の資料(自主基準)
まとめ
- 「ニコチン酸アミド」は、JAN・原料規格・厚生労働省の通知で使われる名前。「ニコチン酸」などの似た名前は別の項目。
- 「ナイアシンアミド」は、化粧品の表示名称リストにある名前。製品の表示では、医薬部外品でもこの名前の例がある。
- 厚生労働省の通知で、化粧水とクリームなどの2つの項に有効成分の前例がある。
- どちらの名前でも、何のために入っているかはその製品の効能効果の欄で読む。
- 女神の前髪は、有効成分8種の一つとしてニコチン酸アミドを表示している。
※ 成分の一般的な情報(公的な資料と業界団体の資料に基づく名称と前例)と、女神の前髪の製品情報を分けて記載しています。本品は医薬部外品です。効果には個人差があります。本品は、髪が生えると約束するものではありません。本記事は成分表示の読み方をご紹介するもので、個々の成分や特定の効果を保証するものではありません。
