頭皮に使う育毛剤の成分表に、「ジフェンヒドラミンHCl」という名前があります。カタカナの終わりに、英字の「HCl」が付いた書き方です。この3文字は、何を表しているのか。「塩酸ジフェンヒドラミン」や「ジフェンヒドラミン塩酸塩」と書かれたものと同じなのか。HClの意味と書き方の関係、入っている目的を読む欄を、編集部が整理しました。
ジフェンヒドラミンHClは、医薬部外品原料規格2021の条「塩酸ジフェンヒドラミン」と同じ成分の、略した書き方です。「HCl」は、条名の「塩酸」に当たる部分です。業界団体の成分表示名称リスト(2008年版)では、「ジフェンヒドラミン塩酸塩」も同じ成分の簡略名に挙がっています。目的は、名前の書き方でなく、製品の効能効果の欄で確かめます。

「ジフェンヒドラミンHCl」は、原料規格の名前を略した書き方
医薬部外品原料規格2021には、「塩酸ジフェンヒドラミン」という条があります。英名は Diphenhydramine Hydrochloride です。
この原料規格は、医薬部外品に使う原料について、厚生労働省が2021年の通知で定めたものです。
成分表の「ジフェンヒドラミンHCl」は、この条名と書き方が違います。手がかりは、日本化粧品工業連合会がまとめた成分表示名称リストです。医薬部外品向けの2008年版で、国ではなく業界団体の資料です。
このリストで、成分名の欄は「塩酸ジフェンヒドラミン」です。同じ行の「簡略名」の欄に、2つの書き方が挙がっています。「ジフェンヒドラミンHCl」と「ジフェンヒドラミン塩酸塩」です。女神の前髪の成分表示は、このうち前者を使っています。
なお、8種類の薬用化粧品の前例を並べた2008年の厚生労働省の通知には、この成分の名前がありません。この通知に育毛剤の項はもともと無く、承認は製品ごとに受けます。
医薬部外品の成分表示が業界団体の自主基準であることは、医薬部外品の育毛剤とはの記事にあります。
「HCl」は「塩酸」に当たる部分。付く位置と書き方が違うだけ
同じ成分に、3つの書き方があります。原料規格の条名と、2008年版のリストの欄を並べると、違いは「塩酸」の部分だけです。
- 塩酸ジフェンヒドラミン:原料規格の条名で、リストの成分名。「塩酸」が前に付く
- ジフェンヒドラミン塩酸塩:リストの簡略名。「塩酸塩」が後ろに付く
- ジフェンヒドラミンHCl:リストの簡略名。英字の「HCl」が後ろに付く
名前の「ジフェンヒドラミン」の部分は、3つとも変わりません。リストでも3つは同じ行に載っていて、指す成分は1つです。
「HCl」は、条名の「塩酸」に当たる部分です。原料規格の条に書かれた化学式も、終わりが「・HCl」になっています。
成分表の名前は、このようにリストの簡略名で書かれていることがあります。ほかの資料で書き方が違って見えても、まずは同じ成分の書き方の違いかどうかを確かめます。
書き方がどれでも、入っている目的は製品の「効能効果」の欄で読む
名前の書き方や記号を手がかりに、製品が何のためのものかを想像しない。編集部はこう考えています。その理由は、次の2つです。
まず、医薬部外品の承認は品目ごとに行われます。審査で見られるのは、その品目の成分や分量だけでなく、効能効果や用法用量も含みます。どの有効成分を入れるかも、その品目の効能効果とひとまとまりで審査されます。
次に、原料規格の条が定めている中身です。条にあるのは、原料としての品質の決まりです。どれだけ含むか、どう確かめるか、といった項目が並びます。その原料を製品の中で何のために使うかは、条には書かれていません。
だから、成分表でジフェンヒドラミンHClを見つけたあとは、箱の側面や商品ページで「効能・効果」の欄を探します。欄の場所は、頭皮美容液と女性用育毛剤の違いで確かめられます。
有効成分の数も、製品の効果の大きさを比べる物差しにはなりません。

女神の前髪の場合
女神の前髪 薬用スパエッセンス No.8-HINOKI は、医薬部外品の薬用育毛剤です。販売名は「ヘアーローション8 MV」、承認番号は30600DZX00656000です。
成分表示には、有効成分8種が並びます。その最後にあるのが、ジフェンヒドラミンHClです。前の7つは、人参エキス、センブリエキス、セファランチン、グリチルリチン酸2Kです。続いて、D-パントテニルアルコール、ニコチン酸アミド、サリチル酸です。
表示している効能効果は、成分ごとに付いたものではありません。製品として承認を受けた範囲です。有効成分の数が8つであることも、効果の大きさの根拠にはしていません。
手に取る理由として、使う側の事情も大切にしています。香りは、天然ヒノキ精油(一部合成香料を併用)。ボトルは洗面台に隠さず置ける形で、持ち歩ける30mLです。
効能効果を含む詳しい表示は、Amazonの商品ページで確認できます。
成分表を読む順番と、ほかの有効成分の記事
成分表は、有効成分の欄と、それ以外の成分の欄に分かれています。読む順番と、ほかの7つの名前は、頭皮美容液の成分表、どこを見る?で見渡せます。
記号の入った表示名のもう一つの例は、グリチルリチン酸2Kとはの記事です。
同じ成分表示名称リストを手がかりにした記事に、ニコチン酸アミドとはの記事があります。
公的な名前と別名はD-パントテニルアルコールとはの記事で扱っています。
似た名前との区別はサリチル酸とはの記事、植物の名前の読み方はセンブリエキスとはの記事にあります。
漢字で書かれた植物エキスの名前は、人参エキスとはの記事で扱っています。
有効成分という言葉の意味は、医薬部外品の育毛剤とはで説明しています。
よくある質問
「ジフェンヒドラミンHCl」と「塩酸ジフェンヒドラミン」は、違う成分ですか?
違う成分ではありません。原料規格の条名が「塩酸ジフェンヒドラミン」です。業界団体の成分表示名称リスト(2008年版)は、「ジフェンヒドラミンHCl」をその簡略名に挙げています。違うのは書き方です。
名前の「HCl」は、何を表していますか?
条名の「塩酸」に当たる部分です。原料規格の条の化学式も、終わりが「・HCl」です。2008年版のリストには、「ジフェンヒドラミン塩酸塩」という簡略名もあります。塩酸が前に付くか後ろに付くか、英字で書くかの違いです。
医薬部外品の原料規格に載っているのは、どういう意味ですか?
医薬部外品の原料として、品質の決まりが定められているという意味です。どれだけ含むか、どう確かめるかといった項目です。製品の中で何のために使うかは、条に書かれていません。目的を知るには、その製品の効能効果の欄を見ます。
女神の前髪では、ジフェンヒドラミンHClは何のために入っていますか?
効能効果は、成分ひとつずつに割り振られたものではありません。製品として承認を受けた範囲のものです。表示している効能効果は、Amazonの商品ページで確かめられます。特定の効果を保証するものではありません。
参考資料
公的な資料
- 厚生労働省(PMDA掲載):医薬部外品原料規格2021について(令和3年3月25日)
- 厚生労働省(PMDA掲載):医薬部外品原料規格2021(本文)
- 厚生労働省:いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて(平成20年12月25日)
業界団体の資料(自主基準)
まとめ
- 成分表の「ジフェンヒドラミンHCl」は、原料規格の条名「塩酸ジフェンヒドラミン」を略した書き方。英名は Diphenhydramine Hydrochloride。
- 「HCl」は「塩酸」に当たる部分。前に付くか後ろに付くかの違いで、2008年版のリストでは「ジフェンヒドラミン塩酸塩」も同じ成分の簡略名。
- 条が定めるのは原料の品質の決まり。何のために入っているかは、製品の効能効果の欄を見る。
- 女神の前髪の成分表示では、有効成分8種の最後にジフェンヒドラミンHClがある。
※ 成分の一般的な情報(公的な資料と業界団体の資料に基づく名称と原料規格の定め)と、女神の前髪の製品情報を分けて記載しています。本品は医薬部外品です。効果には個人差があります。本品は、髪が生えると約束するものではありません。本記事は成分表示の読み方をご紹介するもので、個々の成分や特定の効果を保証するものではありません。
