頭皮に使う育毛剤の成分表に、「サリチル酸」という名前があります。洗顔料やシャンプーの裏、薬の箱でも見た覚えのある名前です。それらは同じものなのか。なぜ、いろいろな製品に入っているのか。この2つの疑問と、何のために入っているかを読む欄について、編集部の見解をまとめました。
サリチル酸は、成分表の表示名も、一般的名称(JAN)も、厚生労働省の通知も、同じ名前です。「サリチル酸ナトリウム」「サリチル酸メチル」は、別の項目に載る別の名前です。通知では、シャンプーや化粧水など多くの種類の薬用化粧品で、有効成分の前例に挙がります。何のために入っているかは、成分名からは決まらず、その製品の効能効果の欄で読みます。

「サリチル酸」は、成分表でも公的な名称でも同じ名前
成分表に書かれる「サリチル酸」は、一般的名称(JAN)でも「サリチル酸」です。英語の名前は、Salicylic Acidです。厚生労働省の通知でも、同じ名前で書かれています。2008年の通知に加え、2014年の通知(薬用シャンプー・薬用リンス)にも載っています。2018年の通知(薬用石けん)にも、「サリチル酸」の名前があります。
グリチルリチン酸2Kのように呼び方がいくつかある成分とは違い、表示と公的な名称のずれがありません。
名前の似た成分に、「サリチル酸ナトリウム」と「サリチル酸メチル」があります。2008年の通知では、「サリチル酸ナトリウム」はシャンプーの項に、「サリチル酸」とは別の行で載っています。JANのデータベースでは、「サリチル酸メチル」(英名 Methyl Salicylate)が別の項目です。どちらも「サリチル酸」とは別の名前なので、本記事では扱いません。
成分表示の名前がどう決められているかは、医薬部外品の育毛剤とはの記事にまとめています。
シャンプーにも化粧水にも入っているのは、多くの種類の製品で有効成分の前例があるから
薬用化粧品と呼ばれる製品は医薬部外品で、承認は品目ごとに受けます。厚生労働省は、承認申請の参考にするため、2008年に製品の種類ごとの有効成分の前例を一覧にした通知を出しました。
そのリストで、サリチル酸は次の6つの項に挙がっています。
- シャンプー
- リンス
- 化粧水
- クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油
- パック
- 薬用石けん(洗顔料を含む)
ひげそり用剤と日やけ止め剤の項には、名前がありません。シャンプーとリンスの項は2014年に、薬用石けんの項は2018年に、それぞれ別の通知へ移されました。移された先の通知でも、サリチル酸は有効成分の表に載っています。
髪を洗うもの、顔や体を洗うもの、肌にのばすもの。目的の違う製品に同じ名前があるのは、前例の種類がこれだけ広いからです。
前例に挙がっている種類の多さは、製品の効果の大きさとは別のことです。2008年のリストに育毛剤の項はありません。育毛剤も、ほかの製品と同じように品目ごとに承認を受けます。
何のために入っているかは、その製品の「効能効果」の欄で読む
成分の名前から、製品の効果を読まない。これが編集部の見解です。理由は2つあります。
1つめ。医薬部外品は、品目ごとに承認を受けます。審査で見られるのは、成分、分量、用法用量、効能効果などの組み合わせです。有効成分は、その製品の効能効果のために入っています。
2つめ。同じサリチル酸が、目的の違う多くの種類の製品で、前例に挙がっていることです。髪を洗うもの、顔や体に使うもの、頭皮に使う育毛剤では、製品ごとに承認された効能効果が違います。
だから、ほかの製品や薬で見た「サリチル酸」の印象を、頭皮に使う育毛剤に持ち込みません。成分表で名前を見つけたら、同じ箱や商品ページの「効能効果」の欄へ目を移します。欄の場所は、頭皮美容液と女性用育毛剤の違いで整理しています。
有効成分が1つ入っていることも、入っている数も、製品の効果の大小を決めるものではありません。

女神の前髪の場合
女神の前髪 薬用スパエッセンス No.8-HINOKI は、医薬部外品の薬用育毛剤です。販売名は「ヘアーローション8 MV」、承認番号は30600DZX00656000です。
有効成分8種の一つとして、成分表示に「サリチル酸」を載せています。人参エキス、センブリエキス、セファランチン、グリチルリチン酸2Kの4つ。そして、D-パントテニルアルコール、ニコチン酸アミド、サリチル酸、ジフェンヒドラミンHClの4つです。
効能効果の表示は、成分ごとではなく、製品として承認された範囲のものです。8種という数も、効果の大小とは別のことです。
選ぶ理由には、使う側の事情も入れています。洗面台に隠さず置けるボトル。持ち歩ける30mLの大きさ。香りは、天然ヒノキ精油(一部合成香料を併用)です。
詳しい表示は、Amazonの商品ページで確認できます。
ほかの7つの有効成分は、成分表全体と一緒に読む
成分表全体を「有効成分」と「その他の成分」の2つに分けて読む方法は、頭皮美容液の成分表、どこを見る?に書いています。ほかの7つの名前も、そこで確かめられます。
有効成分とは何か、医薬部外品の成分表示がどう書かれるかは、医薬部外品の育毛剤とはにあります。
成分ごとの記事の1本目は、グリチルリチン酸2Kとはです。同じ8種のうち、呼び方が3つある成分の名前の対応を整理しています。
D-パントテニルアルコールの公的な名前と、パンテノールとの関係は、D-パントテニルアルコールとはの記事で整理しています。
センブリエキスの名前が示す植物と部分は、センブリエキスとはの記事で整理しています。
ニコチン酸アミドとナイアシンアミドという2つの名前の出どころは、ニコチン酸アミドとはの記事で整理しています。
人参エキスの名前と、植物を学名で確かめる読み方は、人参エキスとはの記事で整理しています。
ジフェンヒドラミンHClの「HCl」が表すものは、ジフェンヒドラミンHClとはの記事で整理しています。
よくある質問
成分表の「サリチル酸」は、ほかの製品で見る「サリチル酸」と同じものですか?
名前は同じ1つの成分です。成分表の表示名も、一般的名称(JAN)も、厚生労働省の通知も、「サリチル酸」(英名 Salicylic Acid)です。ただし、何のために入っているかは製品ごとに違います。それぞれの製品の効能効果の欄で読んでください。
「サリチル酸ナトリウム」や「サリチル酸メチル」とは違いますか?
別の名前です。厚生労働省の2008年の通知では、「サリチル酸ナトリウム」は「サリチル酸」と別の行に載っています。JANのデータベースでも、「サリチル酸メチル」は別の項目です。本記事で扱うのは「サリチル酸」だけで、ほかの2つの中身には触れていません。
シャンプーや石けんにも入っているのは、なぜですか?
有効成分の前例として、厚生労働省の通知に、多くの種類の薬用化粧品で挙がっているためです。2008年のリストでは、シャンプー、リンス、化粧水、クリームなど、パック、薬用石けんの6項に「サリチル酸」があります。それぞれが何のための成分かは、製品ごとの効能効果の欄で読みます。
頭皮に使う育毛剤にサリチル酸が入っていると、何がよいのですか?
成分の名前だけでは分かりません。医薬部外品の効能効果は、成分ごとでなく製品ごとに承認されます。何のためかは、その製品の効能効果の欄を読んで確かめてください。女神の前髪の場合は、Amazonの商品ページで効能効果を確認できます。特定の効果を保証するものではありません。
参考資料
- 厚生労働省:いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて(平成20年12月25日)
- 厚生労働省(PMDA掲載):薬用シャンプー及び薬用リンスの承認審査に係る留意事項について(平成26年5月2日)
- 厚生労働省(PMDA掲載):薬用石けんの承認審査に係る留意事項について(平成30年3月29日)
- 国立医薬品食品衛生研究所:日本医薬品一般的名称(JAN)データベース「サリチル酸」
- 国立医薬品食品衛生研究所:日本医薬品一般的名称(JAN)データベース「サリチル酸メチル」
まとめ
- 「サリチル酸」は、成分表・一般的名称(JAN)・厚生労働省の通知で同じ1つの名前。「サリチル酸ナトリウム」「サリチル酸メチル」は別の項目。
- 厚生労働省の通知で、シャンプーから薬用石けんまで多くの種類の製品で有効成分の前例がある。だから、いろいろな製品で見かける。
- 何のために入っているかは、成分名からは決まらない。その製品の効能効果の欄で読む。
- 女神の前髪は、有効成分8種の一つとしてサリチル酸を表示している。
※ 成分の一般的な情報(公的な資料に基づく名称と前例)と、女神の前髪の製品情報を分けて記載しています。本品は医薬部外品です。効果には個人差があります。本品は、髪が生えると約束するものではありません。本記事は成分表示の読み方をご紹介するもので、個々の成分や特定の効果を保証するものではありません。
